横浜税関
横浜税関の歴史は、1859年の横浜開港に遡ります。初期には「神奈川運上所」と呼ばれ、1872年に「横浜税関」に改称されました。関東大震災により旧庁舎が倒壊した後、帝都復興事業の一環として1934年に再建されました。設計は大蔵省(現財務省)営繕管財局が担当しました。この税関は横浜港の発展とも密接に結びついており、新港地区の整備に伴い、1899年から1905年にかけての埋め立て工事や、1911年と1913年に建設された赤レンガ倉庫(正式名称は横浜税関新港埠頭倉庫)などがその一例です。建物は、優美な外観と独特の建築様式から「クイーンの塔」の愛称で親しまれ、神奈川県庁舎(キング)や横浜市開港記念会館(ジャック)とともに「横浜三塔」の一つに数えられています。現在は保存室となっている旧税関長室、旧税関長応接室、旧総務部長室、旧特別会議室は当時の姿を残しています。また旧税関長室はマッカーサー元帥が執務したと言われています。老朽化と狭隘化に伴い、2001ー2003年に行われた保存増築工事が行われ、7階のテラスなどが設けられました。設計は、香山・アプル設計JVが手がけています。この建物は年に数回、旧税関長室などが一般公開されます。